【独自の進化】スーダンのフールは他所のアラブ諸国とは一味違った!

食文化

パンのお供には、今や国民食といっても過言ではないフールがなくてはなりません。このフールも実はよく食べられるようになったのは、最近のパン食の拡大と同時だったようです。パン食の拡大については、下記から読めます。
実際にフールを食べてみたらわかるのですが、パン以外の主食と食べてもあまり美味しくありません。このことからも、パン食が広まる以前はあまりフールが食べられていなかったことがわかります。つまり、植民地独立後のパン食の拡大によってスーダンの食卓に大きな革命が起きたことになります。

スーダンのフールは濃厚さが売り

フールとはアラビア語で豆、特にそら豆のことを指しています。フールという料理は、乾燥そら豆を水に一晩漬けたものを、やわらかくなるまで塩茹でし、オリーブオイルとレモン、塩胡椒などのスパイスでシンプルに味付けしたものです。フールはちぎったパンにくるんで食べます。

フールの本場はエジプトで、安くて手軽な朝食の定番メニューとなっています。手軽で栄養価も高いことからエジプトだけでなく、中東全土で広く食べられています。


エジプトのお隣スーダンでも、フールは安くて手軽な朝食の定番メニューとなっています。スーダンのフールは、オリーブオイルではなく、胡麻油か落花生オイルを使うのが特徴的です。スーダンではオリーブの木が育ちにくく、オリーブオイルは輸入品となります。そのためオリーブオイルは非常に高価なものなので日常で使うには都合があまりよくないので、スーダンでよく取れる胡麻や落花生の油を使います。

スーダンで使われている胡麻油は、日本のような焙煎した風味が強いタイプのものではなく、焙煎せずに直に絞った風味が少ないタイプの胡麻油を使っています。日本のゴマ油とは別物と考えていいぐらい味が違います。落花生のオイルもコクがあり、バターのような風味が口に残り非常に美味しいです。どちらもオリーブオイルに比べ非常に濃厚な味が口に広がるのが特徴的です。

フールはそら豆と油を使うという共通点以外は、各家庭のアレンジとなります。調味料は好みに合わせてレモンやコリアンダー、クミン、チリペッパー、ピーナッツペースト、ケチャップなどを使います。トマトや玉ねぎ、ジルジール、きゅうりなどの野菜を入れるとフレッシュさをプラスできます。油だけでも濃厚な味になりますが、さらに濃厚さを加えたい時は、塩気の強いチーズやターミーヤ、ゆで卵を好んで入れる人もいます。

栄養面でスーダン人を支える

そら豆は人間に必要な栄養素がバランスよく含まれています。特に注目したいのが亜鉛と鉄です。亜鉛は野菜のなかでトップクラスの含有量です。亜鉛は新陳代謝やエネルギー代謝に重要な役割を持っています。体では作り出せないので食品から摂取する必要があります。肉や魚介類に多く含まれますが、スーダンでは肉や魚は高価なため毎日食べるのは難しいですが、安いそら豆がそれを補っています。

鉄分は、同じ重量のほうれん草よりも多く含まれています。鉄分は赤血球を作るヘモグロビンの成分として重要な役割があります。鉄分が不足すると貧血になり体が酸素不足になり、疲れや頭痛が生じます。またカリウムやカルシウム、食物繊維といった成分も豊富です。


これらに加え、タンパク質も多く含まれます。茹でそら豆100g当たり11gのタンパク質が含まれます。タンパク源としても優秀な食材といえます。こんな優秀な食材のそら豆ですが、小さなキオスクの軒先で安く買うことができます。写真のように店頭に大釜が出ているときはフールが売られていることが一目でわかります。
だいたい一人前で日本円で10円ほど、なんと6枚入りのビスケットと同じ値段と安く買うことができます。このため安くて栄養価の高いフールは、現在のスーダン人の生活になくてはならないものとなっています。

健康食フールを日本でも

フールは非常に栄養価の高い食べ物だということがわかっていただけたと思います。そんなフールは日本でも簡単に作れちゃいます。

  • 乾燥フールを一晩水につける
  • 水を取り替え柔らかくなるまで煮る
  • 好みの油と、野菜、スパイスで味付け
  • 好みのパンにくるんで食べる

本当に簡単に作れちゃいますね。ぜひ栄養価が高く美味しいフールを食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。