イスラーム教圏では食事に誘ったり誘われる機会が本当に多いです。体感的に余暇時間の半分程度はこうした人間付き合いに時間を割くのがイスラーム圏でのしきたりです。もしこの誘いをいつも断ってしまうと信用できない人物と思われ、あらゆる支障が生じてきます。
またイスラーム圏に行かない人も日本で働くイスラム教徒はこれからどんどん増えていきます。場所に関わらずイスラム教徒はとにかく食事に招待してくれます。その際に気を付けておきたい食事マナーについてまとめましたので参考にしてみてください。
いただきますとごちそうさま
『ビスミッラー』(アッラーの御名において)という言葉でイスラーム教徒は食事を始めます。これは日本語の「いただきます」に相当する言葉です。
食べ終わったら『アルハムドリッラー』(全ての賛美と感謝はアッラーにあり)と言います。これは「ごちそうさまです」に相当する言葉です。
人間が食べるものは神から与えられたとクルアーンに書かれています。そのためイスラム教徒は食事の前後に神様に感謝します。郷に入れば郷に従えでイスラーム教徒でなくともこの言葉を言った方が良いです。
右手で食事を食べる
食事には右手を用います。左手は汚い物の洗浄に使いますから左利きの人は気を付けてください。パンをちぎったりする際にどうしても左手を使わなければならない場合は、両手を使ってもかまいません。
この右手で食べることはムハンマド(彼の上に平安と祝福あれ)の教友ウマル・ビン・アブー・サラマの言葉にみてとれます。
『預言者の存命時代、私は幼い子どもでした。そして私の手は皿の上をさまよっていたものでした。それでアッラーの使徒は私に言いました。
<ぼく、アッラーの御名を唱えるんだ。そして右手で、自分の手前の物から食べ始めるんだぞ。> そして私は現在に至るまで、その食べ方に従っているのです。』
イスラーム圏の食事の提供スタイルは、大勢で大皿を囲んで食べることが多いです。そのため、皿の食事は自分だけのものではありません。汚い左手を使うのはマナー違反なので注意しましょう。
自分から近い位置の物を取る
大皿で提供された食事は自分が座っている位置から近い場所から食べるようにしたほうがよいです。食べ物の大きさを比べて大きいものを取るように、遠くに手を伸ばすことは卑しく感じられてしまいます。
このような食事のマナーは、日本でも同様にみられますね。
食器の配置や箸置きは右手用に配置されているので、箸は右手で使うのが作法とされています。またどれを食べようかと食べ物の上で箸を動かす迷い箸もマナー違反ですね。
皿の位置を変えない
食器の位置をころころ変えるのはあまり好まれる行動ではありません。
遠くのものを食べたいときは、自分の近くの皿に少し分けてもらって食べるようにするのが良いです。
料理が熱くてもフーフーしてはいけない
イスラムでは、食器やコップの中にフーフーと息を吹き込むことは禁じられています。
いくら料理が熱々でもフーフーしてはいけません。もし熱かったら冷めるまで待ってください。
教友イブン・アッバースの言葉
『アッラーの使徒はコップの割れ目から飲むこと、そして飲み物の中に息を吹き込むことを禁じられました。』
もし口に合わなかったら
イスラム教徒はいかにその食事が気に入らなくても、それに関する不平や批判の言葉を口にすることを禁じられています。
教友アブー・フライラの言葉
『預言者が食べ物に難癖を付けることは、全くありませんでした。おいしければ食べ、気に入らない時は手を付けませんでした。』
もし口に合わない場合は、手を付ける必要はありません。
まとめ
色々な食事マナーを見てきましたが、基本的な食事のマナーは日本とさほど変わりはありませんので過剰に心配する必要はありませんね。
ただ男女一緒に食事を食べる習慣がないなど家庭によってルールが違う家庭もあるので言われた通りに行動するのがベストです。
ぜひ、イスラム教徒の方と楽しい食事の時間を過ごせることを祈っています。