朝早くから大音量のアラビア語の放送。中東エリアを旅した人は朝早くに起こされた経験がありますよね。
ちょっとうるさいなと思いつつ美しい声色に魅了されている人も多いはず。
これはアザーンと呼ばれる礼拝の時間を知らせるものです。
そんなアザーンについて解説いたします。
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アザーンとは?
アザーンとは、イスラム教徒へ礼拝の時間を知らせるものです。
礼拝は1日5回ですのでアザーンも5回流れることになります。
アザーンはイスラムにおける慣行(スンナ)で文言が決まっており、勝手に変えてはいけません。
ムワッジンと呼ばれる人がアザーンを読誦します。その音声はモスクの横にある塔からスピーカーで流されます。
アザーンの意味は?
アザーンの言葉と意味は以下の通りです。
「アラビア語を日本語に変換」
- アッラーフアクバル ×4
- アシュハド アンラー イラーハ イッラッラー ×2
- アシュハド アンナ ムハンマダン ラスールッラー ×2
- ハイヤー アラッサラー ×2
- ハイヤー アラルファラー ×2
- アッラーフ アクバル ×2
- ラー イラーハ イッラッラー ×1
「日本語の意味」
- アッラーは偉大なり ×4
- 私はアッラー以外に神はいないことを証言します ×2
- 私はムハンマドがアッラーの使者であることを証言します ×2
- 礼拝にきたれ ×2
- 成功のためにきたれ ×2
- アッラーは偉大なり ×2
- アッラー以外に神はいない ×1
朝の礼拝(ファジュル)だけ5のあとに アッサラート ハイルン ミナヌウム (礼拝は睡眠にまさる)という文言がプラスされます。
シーア派のアザーンはちょっと違う?
シーア派のアザーンはスンナ派と異なっています。
異なっている点は以下の通りです。
- 3の「私はムハンマドがアッラーの使者であることを証明します」のあとに「アリーがアッラーに続く方であることを私は証言します」と「アリーがアッラーの証明であることを私は証言します」が足される
- 5の「成功のためにきたれ」のあとに「至善の行為のために来たれ」が足される。
スンナ派とシーア派の違いは後日書こうと思っていますが、シーアの人々にとってアリー(رضي الله عنه)はとても大切なひとになります。
アザーンの時間は?
礼拝の時間は太陽の位置によって決まるため毎日ちょっとずつズレていきます。
礼拝はスンナ派が一日5回で、シーア派が一日3回(1回で2回分あわせて行い計5回とする)です。
シーア派は現実の生活に合わせて忙しい時間の礼拝をドッキングさせています。お昼と夕方の礼拝を一度に2回分まとめてやります。さらに日没と就寝前の礼拝を一度に2回分合わせてやります。一日3回の礼拝ですが実質5回分をやっていることになります。
さらにシーアは大音量でアザーンを流しません。モスクの目の前に行かないと聞こえないくらいの音量です。
シーア派は現実に即して柔軟にルールを変えています。
国によって声質に変化がある?
国によって声質がちょっとずつ違っているように感じます。
アラビア語には方言が多くあります。そのため方言の訛りがアザーンにも反映されます。
スーダンのアザーンはかなり訛っています。
ぜひ意識して聴いてみてください。
歌が上手い人音痴な人があるように、アザーンにもうまい下手があります。
お気に入りのアザーンを探すのも面白いですよ。
『鬼滅の刃』CD問題について
アニメ『鬼滅の刃』がアザーンをアレンジした音源を使い出荷停止になったニュースがありました。
アザーンを音楽に使う問題点は?
イスラム教徒はアザーンを非常に大切にしています。
なぜならアザーンのなかにはシャハーダが含まれています。
シャハーダとは、「私はアッラー以外に神はいないことを証言します」「私はムハンマドが神の使者であることを証言します」という部分で、これを言うことがイスラム教へ入信することになる非常に大事な言葉です。
そしてアザーンを聴いたら心の中でアザーンを唱えなおすという行為をイスラム教徒はします。
なのでアザーンが流れている最中に他の音楽を聴くなんてありえないことです。
アザーンが聞こえたら聴いていたらその音楽を消します。
- アザーンにはイスラム教徒にとって大切シャハーダが含まれている
- アザーンが聞こえたら音楽を消し、心の中で唱える
この2点からもわかるように、『鬼滅の刃』のようにアザーンを音楽に用いるのはけしからんことになります。