世界中にいるイスラム教徒にとってラマダンは、1年で一番大切な時間です。
でもラマダンってなに?なんで断食するの?と疑問に思っていませんか?
いまだ日本人に馴染みの薄いラマダンについてスーダンに住む私が易しく解説いたします。
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ラマダンとは
よく日本人が誤解するのがラマダンの意味ですね。ラマダン=断食というイメージを持っていませんか?
アラビア語でラマダンはイスラーム暦の9月を表す言葉です。イスラムでは月の満ち欠けを一か月としますから、太陽の動きで暦を決める日本の暦とは年間で約11日ほどのずれがあります。
ラマダンは日本の暦の呼称のようなもので12月を師走というのと同じようなものです。
ラマダンの語源は「ラミダ=酷暑である」という動詞からきています。つまりラマダンとは暑い月という意味があります。
・ラマダン=イスラム歴の9月
なんでラマダンが大切なの?
ラマダンが9月ということがわかったところで、なんでイスラム教徒はラマダンを大切にするのかという疑問がでてきますね。
その答えはクルアーンの中にあります。
・ラマダンが大切な理由=初めて神様から預言者ムハンマド(彼の上に祝福と平安あれ)に啓示が下された月
ラマダンは苦行ではなく、報酬の多い月
日本の友人からはラマダンは断食で大変だねと言われます。
たしかに、暑い日中の断食は大変さを感じることもあります。
しかし、ラマダンの目的は苦労を味わうことにあるのではありません。
その答えもクルアーンの中にあります。みいつとはクルアーンが啓示された夜のことを意味します。
この中にはこういうことが書かれています。
・クルアーンが啓示された夜と同じ日の夜の信仰行為は千の月分(約83年)の信仰行為を上回る。
・天使と精霊が神の許しを得て、夜明けまで降りてくる。
つまり、ラマダン中の信仰行為や善行は普段よりも多く受け入れられることになります。
そのためイスラム教徒はこの期間は特に信仰心をもちクルアーンを夜中読んだり、礼拝に励んだりします。
・信仰行為や善行への恩恵が大きいので、信仰心を強くする月
ラマダン月には禁止事項があります
さきほどクルアーン第2章185節のなかにもラマダンに信者がしなけれならないことが書かれていましたね。
断食以外もラマダンに守らなければならないことが決まっています。これらを守ることは神様から命じられたことであり、それをしっかりと順守することは信仰心の証明となります。
- 夜明けから日没までの一切の飲食の禁止
- 上記の時間の喫煙
- 上記の時間の性交
- 戦争や口論などの争いごと
もちろん病気を持っている人や妊婦など正当な理由がある場合は免除されます。神様は難しきを求めません。
また、断食には、飢えや貧困の疑似体験という側面もあり、困窮している人を助けようという気持ちさせてくれます。
どうしても人間は自分のことばかりを考えてしまいがちですが、ラマダンではみなに食事を振る舞い、全員が助け合って生きるという大切なことを実践できる月なのです。
断食などの禁止事項は信仰心の証拠となる。助け合いの心を強くする。
断食明けの食事が持つ意味
長い時間の断食を終えた後の一杯の水のおいしさは、本当に喜びに満ちています。
日々当たり前のように過ごしてしまいますが、食べ物飲み物があるということの喜びはかけがえのないものだと気付きます。
そして普段よりも豪華な食事を用意し、親戚友人が集まって食卓を囲むことは大切な時間だと実感させられます。
食べ物・飲み物があるという幸せを噛み締める
ラマダン最後の10日間は最も大切
神様から啓示が下された日は明確にはわかっていません。ラマダンの最後の10日間のどれか、特に奇数日だとされています。
その日は1年で最も神様を近くに感じられる日です。
その日の夜を神様を思って過ごしたいとイスラム教徒は思っています。そのため10日間は特に礼拝やクルアーンを読み信仰の時間にします。
私も今年のラマダンは夜中の2時から夜明けまで礼拝を続ける予定です。私の家族、世界中でいま困っている人への祝福を祈ります。
最後の10日間は最も信仰が受け入れられる日
いかがだったでしょうか、ここまでラマダンについて紹介いたしました。
ラマダンについての理解に役に立てたならば非常に光栄です。お読みいただきありがとうございました。