言葉の乱れは今に限ったことではなく、いつの時代でも問題になっているようです。
最近、日本のテレビをみていて非常に気になるのが「ら抜き」言葉です。
タレントが「食べれる」と発言しても、字幕では「食べられる」に訂正されていたりします。
意味が分かればいいと思いますが、日本語学習者には正しく教える必要があります。
ら抜き言葉とは
「ら抜き」言葉とは、「見る」や「食べる」といった上一段・下一段動詞(グループ2動詞)と「来る」のカ変動詞(グループ3動詞)の可能表現で「ら」が抜けてしまうことをいいます。
正 「見られる」 「食べられる」 「来られる」
誤 「見れる」 「食べれる」 「来れる」
「られる」には尊敬・受け身・可能と幅広い使い方があるため、可能形を分かりやすく区別するためにだんだんと「ら」が抜けていったとされています。
「ら」が抜けたらだめなのか?
文部科学省の調査によると「ら抜き」言葉を使用する割合は、すでに半数を超えています。
多くの人が使っているの問題が生じていないなら「ら」が抜けてもいいと思いますよね。
たしかに専門家の間でも「ら抜き言葉」は間違いではなく、「言葉のゆれ」として認める傾向にあります。
ところが、日本語を母国語としない日本語学習者にとっては重大な問題となります。
もし、「見る」の活用を「見れる」にすると、「見る」は五段活用(グループ1動詞)であるという誤解を招くのです。
- ます形「みります」
- ない形「みらない」
と混乱に陥ります。そうならないために日本語教育では「ら抜き言葉」は使用しません。
抜けているのは「ら」じゃない?
「ら抜き」言葉は、抜けているのは「ら」ではないと言われています。
ローマ字に直すとわかります。
見られる⇒見れる
mirareru⇒mireru
食べられる⇒食べれる
taberareru⇒tabereru
このように抜けているの「ar」とみる見方もできるようです。
ラ行五段活用動詞にも気を付けよう
繰り返しますが、「ら抜き言葉」は上一段・下一段活用(グループ2)とカ変(グループ3)動詞の可能形の「ら」が抜けてしまっていることでしたね。
逆に、ラ行の五段活用(グループ1)動詞に「ら」を足さないようにしなければなりません。
これは「ラ足す言葉」と呼ばれています。
例えば、ラ行五段活用動詞「帰る」「走る」では、「帰られる」「走られる」とはなりません。
動詞の活用の見分け方は以前書いた記事を参考にしてください。
日本語の動詞3グループ見分け方 【verb 3group】