スーダンのタバコの箱にJTの文字!?スーダンのタバコ事情に迫る

コラム
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スーダンのタバコ事情についてみていきます。

1.3%と154900

American Cancer Societry とパートナーシップを結んでいる『The Tobacco Atlas』の2015年の報告によるとスーダンで常習的にタバコを吸う人の男性の割合は1.3%で、約15万5千人となっている。

その内、未成年者の喫煙は約1万にとされている。隣国エジプトの喫煙率は50%程度、他のアラブ圏も喫煙率が軒並み高いのだが、スーダンは非常に低い喫煙率となっている。

喫煙をしない理由を数人に聞いてみると、喫煙はイスラームで非合法だと答える人が多く、社会的に喫煙に対するイメージがよくない。

アラブ圏のシーシャカフェには女性スペースもあり、女性がタバコを吸う光景は珍しくないが、スーダン人の女性が喫煙している姿を見たことがない。結婚前の女性が家庭内でタバコを吸うことは父親の大反対を受けるだろうし、結婚後は子どもを産み育てることが女性の大きな役割であるため喫煙することはあまり考えられない。

スーダンにはシーシャを提供するカフェも存在するが、基本的に女性の出入りは禁止されていることが多い。スーダンでタバコを使用するのは男性だけだと考えてよい。

スーダンでは、公共交通機関やレストランなどでの喫煙は禁止されている。喫煙率も低いので、路上でタバコを吸っていると白い目で見られることもあり、副流煙の被害を受けることは少ない。
中東地域でみられるような水たばこは、広く販売されているが路上などの公衆の面前で吸うことが禁じられている。時折、路上で不法営業を行っている店に警察がゲリラ的に取り締まりを行い、水たばこ器具が没収されている光景を目にすることがある。

タバコの箱にJTの文字

スーダンで売られているタバコのほとんどが『Bringi』という銘柄で、スーダンタバコ事業シェア80%のハガーという会社が販売している。ほとんどの喫煙家はこのタバコを吸っている。実は、このハガー社は2011年にJT(日本たばこ)が総額350億円で全発行株式を取得している。

近年タバコの国内売り上げの低迷もあり、JTは海外のマーケットと競争力の向上を求めてM&Aを近年頻繁に行っている。2007年にイギリスのタバコ大手ギャラハー(世界5位)を買収し、イギリスや北欧圏のマーケットにおいてシェアを獲得し、M&Aは成功したと言われる。

JTの次なる1手は新興国のマーケットへの参入であった。新興国マーケットの第一弾として選ばれたのがスーダンのハガー社だった。スーダンのハガーがJTの新興国マーケット開拓の先陣に選ばれたのは、どこの大手も手が付けられない情勢が影響していた。

1990年代スーダンはイスラーム過激組織と接近し、活動家の滞在を許可したことから、アメリカはスーダンをテロ指定国家のリストに入れ、さらに経済制裁を発動した。
アメリカ企業はスーダンとの取引がアラビアガムを除き禁止された。そのため、世界シェア2位のフィリップ・モリスやシェア5位のアルトリアグループはスーダンのマーケットには参入できなかった。

かつての宗主国であったイギリスの国際シェアトップのインペリアルタバコも、アメリカとの関係悪化や、テロ指定国家へのビジネス参入には乗り気ではなく、また喫煙者の少ないスーダンのマーケットに魅力的に映らなかったのだろう。

アメリカの経済制裁下でスーダンとの関係を強めたのが中国だったが、国営のタバコ企業である中国煙草総公司は、かつての日本の専売公社のようで中国国内のタバコ会社を束ねるような存在だったため、スーダンのマーケットに大きく参入していなかった。

このような他社の空白状態に目を付けたのがJTだった。M&A総合研究所によると、2011年の買収から1年後にはタバコの販売本数が9億本から55億本にまで増え、事業規模は小さいが買収効果が実感できたと評価している。

JTにとっては新興国でのM&Aの第一歩が成功し、その後2013年にエジプトの水たばこ会社「ナハラ」の買収を皮切りに毎年新興国のタバコ会社買収を行っている。

ハガー買収はJTにとって新興国マーケット開拓の足掛かりとなる重要さを持つものであったが、スーダン国内ではハガーを日本のJTが買収したことはあまり知られていない。ハガー社のタバコを吸ってる人に、それ日本の会社のタバコだよと言っても信じてもらえない。

値段が安く、ニコチンの効果が強いスモークレスタバコ『サウード』

嫌煙家の多いスーダンでは、煙のでない『サウード』『トゥムブーク』『サーフ』という呼び名で呼ばれているものが売られている。

これは、ニコチアナ・ルスティカという高濃度のニコチンを含むタバコの品種の一つの葉を細かく砕いて、重炭酸ナトリウムと水を混合してアルカリ性にしたものだ。アルカリ度が増加することによってニコチンの吸収が早くなり効果が強くなるといわれている。そして、中毒性が非常に強いことでも知られている。

使い方は、細かく砕かれ湿った葉っぱを指で丸めて団子状にし、歯茎において2~3時間そのままにしておくだけで、時間が経ったら捨てるだけです。煙が全くでないので周りの人に迷惑をかけずにニコチンが摂取できるので使っている人を多く見かける。

画像引用元:Sudan’s tobacco: Effects of toombak on gingival tissue and oral health | Registered Dental Hygienist (RDH) Magazine

これらは、政府の管理下になく、個人の商店が販売する商品であるため、おそらく税金がかけられておらず紙巻タバコよりも安価に購入することができる。

しかし、品質は保証できない。

アメリカの歯科研究では、このスーダンの『サウード』は発がん性が高く、口腔がんの発生率を非常に高めるとの研究が発表されている。これは、タバコの葉っぱを長時間口腔内に入れているのだから当たり前だ。

現在、「Bringi」が一箱10本70ポンドであるのに対し、他のスーダンメーカーの紙巻きたばこが一箱10本40ポンド、「サウード」は20ポンド程度で購入できる。経済状況の悪化に連れて、より安価なものへの需要が高まるスーダンにおいて今後、JTの製品は敬遠されてしまう危険性をはらんでいる。