国際協力は現場だけじゃない!鳥取大学とスーダン農業省の共同研究

コラム
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みなさんこんにちは。
スーダン在住のたろうです。国際協力の現場をねずみの一口分ほどかじっている身として、今回の記事を書いてみました。

国際協力という言葉を聞いたとき、あなたは何を想像するだろうか。

国際協力というキーワードを聞いて、海外の可哀そうな子どもたちの姿を思い浮かべた。そんな人が多いのではないでしょうか。

国際的な緊急支援団体は、団体の活動を広く活動を周知し寄付を集めるために広告に子どもや貧困家庭の映像や写真をよく使います。
栄養失調でやせ細り可哀そうな子どもたちの姿はインパクトが強く、何か手助けをしたいと思わせますね。これが良くも悪くも国際協力=貧困者支援のイメージを定着させる要因となっています。

たしかに現地で人と関わることはやりがいがあり、感謝されることもあるし、写真映えもしてやってる感が伝わりやすいです。

しかし、現場だけが国際協力でないということはしっかりと胸に刻んでおかなければなりません。

国際協力の仕事は大きく分けて緊急支援と開発援助に二分されます。
緊急支援はまさしく大々的な広告が打たれるもので、大きな資金力と人材を抱えている組織が率先して行う分野です。

一方、開発援助は小さなNGOやソーシャルビジネスを含め、人材育成や経済活動など多岐にわたり多くの団体が行っていることが開発援助に分類されています。

たしかに国際協力には、この2つの分類がありますが、この二つは完全に分離したものではないということが今日のテーマです。それがわかりやすい一例としてスーダン農業省と鳥取大学が共同研究しているプロジェクトを紹介しようと思います。

鳥取大学乾燥地研究センターとスーダン農業研究機構

鳥取大学はスーダンのハルツーム大学と2010年に学術協定を締結し、留学生の受け入れや共同研究分野でスーダンとの関係性を深めてきました。

そんな鳥取大学とスーダン農業研究機構が共同で研究しているのは高温乾燥に強い小麦の品種改良です。

これは近年、高まるサブサハラ地域における小麦需要に対してのアプローチです。なにしろ小麦という作物は高温乾燥地域での栽培に適している作物ではありません。しかし、スーダンでは需要と供給のバランスが取れなくなり、輸入依存という現象を生み出しています。

高温で乾燥しているスーダンにおいて、小麦ではなく高温乾燥に強いソルガム(きび)を主食にしてきた歴史がありますが、スーダンは数十年に渡る内戦中に小麦の食糧援助を世界から受けてきた影響で大量の安価な小麦が流入してきました。

その結果、小麦を食べる文化が普及し、今では小麦はスーダンに欠かせないものになっています。
これは戦後日本の学校給食でパンが援助で提供され、現在でもパン食が一般的になった過程によく似ています。

スーダンでは川沿いの限られた土地でしか栽培できない小麦の自給率は低く、オーストラリアやエジプトからの輸入に頼っている状況です。

輸入の負担は重く国家予算の10%が小麦の輸入に使われているといわれており、スーダンの経済を疲弊させる原因となってしまっています。

そんな拡大した小麦食をやめるわけにもいかず、インフレや小麦価格が変化してもパンの値段を変えないように政府から補助金が出され、スーダン人がパンを食べれば食べるほど国庫から金が消えていきます。

この問題を解決すべき日本の農業技術と研究の成果がスーダンで求められています。

もし、高温乾燥地域でも育つ小麦の品種改良が成功すれば土地が豊富にあるスーダンは、一大小麦の生産地として世界の食糧問題を解決する国となるポテンシャルを持っています。

日本の高い農業技術という学問の分野が、開発援助にも緊急支援分野でも貢献でき、国際協力は現場だけではないという一例を示せたのではないでしょうか。

今後、気候変動によりさらなる食糧問題の悪化が予想されるサブサハラ地域にとってこの研究の成否は非常に重要となっており、動向が注目されています。