夢を追いかけるスーダン人をインタビュー①現地NGO代表編

コラム
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スーダンは、コロナの影響をモロに受け極端なインフレーションが進み物価が高騰、食料価格は3年前の10倍以上となっている。

追い打ちをかけるように2020年9月に発生したナイル川洪水によって住居が損害を受け50万世帯が避難を余儀なくされている。

このような危機的状況を目の前にし、私は協働できる現地NGOを探した。
スーダンで名の通る大きな NGO 団体の代表と会う機会を持てたが、待ち合わせ場所に現れたのは高級車に乗ったいかにも裕福そうな身なりの男だった

団体は海外から寄付を受け、海外団体の受け入れ窓口なっているようでそれなりの報酬がでているようだった。

この男の話を聞いても、私の心は動かなかった。焦点が違う目線が違う

たまたま義妹のツテで、小さなNGO団体を知ったのはNGO探しに煮詰まったときだった。わずか6畳ほどの雑居ビルの一室に構えた事務所で、小柄ながら意思の強そうな中年の男が笑顔で私を迎えてくれた。

話をしていくうちに、この男の持つ魅力に心惹かれていった。そしてこの団体と協働することとなった。

(会話はアラビア語なので意訳と会話を省略して記載してあります)

インタビュー

た)
アルファーティヒさん、本日はインタビューの機会を設けていただきありがとうございます。

ア)
こちらこそ、親愛なる私の友人の訪問を歓迎します。

た)
これから団体についていくつか質問をしたいと考えています。まずは団体の名前と団体の歴史について教えてください。

ア)
団体の名前はサハーブ・アルヘイルといいます。2016年頃から有志を集いストリートチルドレンの支援を行ってきました。2019年スーダン民主化後に正式にNGOとして登録し活動するようになりました。

た)
まだ歴史的に新しいNGOですが、具体的にはどのような支援活動をしてきましたか

ア)
支援は週に2回を継続し、今までで80回を超える支援活動を行っています。

活動内容は、路上生活者の多い地区での食事の配布洋服の配布、病気の子どもの通院支援割礼の儀式を無料で行うなど主に生活面のサポートが重点となっています。
信頼関係が築けた後に生活調査を行い、就学就労意思のある人には他のサポート施設と繋げたり、仕事の道具を贈与したりしています。

また、現在2020年9月に発生したナイル川洪水の被災地域であるシゲラッブ地区で炊き出し、洋服や車椅子の寄贈などの災害緊急支援も行っています。

た)
支援の対象とそうではない人を見極める基準というものはありますか。無料でもらえるものがあったら人がたくさん来そうですが。

ア)
これが結構見分けるのは簡単です。まだ生活に余裕のある人は、物が貰えなかったら仕方ないというように諦めが早いです。しかし、本当に困窮している人は目の色が全然違います。人を殴ってでも物を得ようとします。彼らの社会は腕力で優劣がつきます。

た)
そうですね。実際に私も参加してみて、明らかに差があることがわかりました。
空のペットボトルを取り合いしているのを見て、子どものじゃれあいかなと最初は思いました。彼らと話すと焦点が定まらず呂律も回っていないのでそれがシンナーだと気が付きました。

ア)
ゴミを拾って得たわずかなお金はシンナー代で消えていきます。食事は食べ残しを食べたりゴミから食べれそうなものを拾って食い繋いでいます。

た)
そのような子どもはスーダンにどれぐらいいるのでしょうか

ア)
スーダン全体の実数は把握できていませんが、私たちの支援対象地区だけで数百人いることを考えるとかなり数がいることが想像できます。

た)
そこまで数がいるのに、どうしてスーダンではストリートチルドレンへの支援の輪が広がりづらいのでしょうか

ア )
まず第一にイスラーム教において家族は非常に重要だとされています。親が死んでしまっても親戚が助けたりするのが普通ですし、口減らしは固く禁じられています。

つまり、家族のいない子どもは、イスラーム教において何か禁忌を犯した存在と見られて忌避される存在なのです。さらにシンナーなどの薬物やお酒に手を出しています。これらはイスラームで禁忌なものですから、悪いレッテルが先行し誰も相手にしようとしません

た)
頼れる存在がいなくて存在自体が社会から認められない。自尊感情が育たないので快楽のためにシンナーに走ってしまう気持ちもわかるような気がします。
このような子ども支援をするに当たってどのようなステップで生活を改善していこうと思っていますか。

ア )
彼らに対する公的な支援をする場は限られています。本当は、支援センターのようなものを準備して支援を行いたいのですが予算もノウハウもありません。

ですので、まずは生存を最優先に考え食事と衣服を与えています。そのなかで生活の聞き取りができる子には話し合いの場を設け、望むなら就学や就労への手助けを行っています。
もちろん将来的には彼らが集える施設を建てたいとおもっています。

た )
私が想像していたよりもシンナーの影響は強いなと感じています。薬物中毒の子どもを含めストリートチルドレンを支援することは一筋縄ではいかないことを実感しています。

ア )
シンナーを吸引していない子も慢性的な栄養不足ですので、発達が遅れている子が多いです。またお金がないので男の子は割礼をしていません。イスラーム教で男性の割礼は非常に重要で、割礼をしていないと将来結婚ができません。
生まれによって将来の可能性が勝手に減って行ってしまうのです。もちろん大人になってからも割礼はできますが、お金はよりかかりますし非常に痛い思いをします。

た )
お話を聞いていると、悪い境遇に置かれてしまうとスーダンの社会では這い上がるチャンスが全くないように感じます。

ア )
石ころと変わらないレベルかもしれません。そこから抜け出すには何とか教育機関まで繋げる必要がありますが、そこまでいける子は多くありません。それでも地道な戦いを続けていくしかありません。

た)
素晴らしい活動をされているなと感動していますが、団体の活動予算はどうされていますか。

ア )
予算は、ボランティアメンバーからの持ち寄りと、街頭での寄付金集め、SNSで寄付を集めています。
現在、インフレによる物価高の影響でスーダン人のほとんどが生活が苦しくなっているので募金が集まりにくくなっています。

た)
今後、海外からの寄付も考えていますか

ア )
ノウハウがないので何とも言えませんが、海外からの寄付がくるとできることも多くなるので将来的には支援者を募りたいです。見ての通り事務所には机と椅子しかありません。

た )
実際に彼らを目にして、支援の必要性を強く感じました。私も出来る限りのサポートをしていきます。
本日はありがとうございました。

ア)
この活動が広く認知され、彼らが過酷な境遇から抜け出せることを願っています。
こちらこそありがとうございました。