日本の年間自殺者数が3万人を切ったというニュースを耳にしました。
自殺者が減ってきているとはいえ、まだまだ多いですよね。
この数字は単純計算すると1時間に3人が自殺しているということになります。
さらに、自殺者数は遺書がある場合のみカウントされているようで、遺書がない場合変死とされるようです。
この変死者は年間15万人いるそうです。
変死者の全てが自殺ではないとしても、その数は恐ろしいほどです。
また、自殺を実行していないけど自殺を望む自殺予備軍が数多くいることになりますよね。
イスラーム教徒たちは経済的に発展し豊かになったはずの日本人が自殺してしまうことを不思議に思っています。
イスラーム社会では自殺はほとんどみられません。
その理由を探りわかったことは、我々日本人に良い視点を与えてくれものでした。
イスラーム教では自殺が禁じられている
イスラーム教では、聖典クルアーンのなかで明確に自殺が禁止されています。
イスラーム=絶対的に帰依するもの でしたね。
イスラーム教徒が信じ帰依するものは6つありました。これが6信と呼ばれています。
詳しくは以前書いた 【六信五行】イスラーム教とは?どんな宗教? をご覧ください。
神の直接の言葉であるクルアーンに書かれていることは疑いなく信仰し実践します。
そのため、イスラーム教徒は自殺をしないのです。
自己責任という言葉がイスラームにない?
イスラームでは物事は神が決めるとされています。これが6信の中の天命ということになります。
良いことが起きれば神に感謝し、悪いことが起きたら神が望んだことだと割り切ります。
それを身をもって感じたのが、スーダン人の友人に在スーダンの日本企業の就職面接を斡旋した時のことです。
彼は日本語もうまく、高学歴でエリートです。しかし、就活は失敗してしまいました。
紹介した私は、申し訳ないことをしたかなと悔やむ気持ちがあった一方で、彼は失敗したのも神がそう望んだことだからといって笑っています。
「ああ、ちっぽけなことで悩んでるのは意味がない」ということに気が付かされました。
人間はもともと無力な存在だとしているのがイスラーム教です。無駄に自分を卑下したりせず、神が動かす流れの中で生きていればいいのだと気が楽になりました。
貧乏は恥ずべきではないとする社会
日本人の自殺原因の1位は経済的困窮だとされています。
経済的に豊かなはずの日本で経済的に困窮して自殺するというのは理解しがたいことです。
イスラーム教では弱い立場の人を助けることを義務としています。
それが五行の一つである喜捨に見て取れます。【六信五行】イスラーム教とは?どんな宗教?
この世にあるものは全て神が作ったものですから、人の財産というものも本来は神のものです。
だから独り占めせずに分け合うことが神の望みなのです。
経済的に困窮しても、それも神が決めたことなので引け目を感じることがありません。
財産がある人にとって貧しい人に施しを与えることは神の望みを叶えることですので、むしろ貧しい人がいなくなると天国への道が遠のくことになります。
そのためイスラム圏の生活困窮者はかなり大きな顔で施しを求めてきます。
現世は天国へ行くための準備期間
イスラム教徒にとって現世は天国へ行くための準備をする期間だと思っています。
現世にどんなに失望しても、耐え忍び善き行いをすれば、天国では神の御許で幸せに暮らすことができるのです。
どんなに困窮しても、ぶれない軸があるイスラム教徒は生きやすいのです。
まとめ
私が、イスラーム教に改宗した時、周りからは宗教は心の弱いやつがやるものだとよく言われました。
しかし、イスラームでは人間は始めから弱い存在とされています。
そのことを認めたうえで、どう生きるのかが重要なのです。
弱さを認めず自己責任を感じ自殺をしてしまう社会と
弱さを認め、神が全てを決めたと責任を感じなくてすむ社会のどちらが生きやすいでしょうか。