男の醍醐味といえば立ち小便ですね。私が子供の頃は酔っ払いが線路のホームに向かって用を足している光景なんかが普通にありました。イスラム教ではトイレの仕方にもマナーがあります。
これは預言者ムハンマド(彼の上に祝福と平安あれ)の言行録ハディースに記載に基づいています。ハディースには生活場面における行動が記されており、イスラム教徒はそれを実践することが望ましいとされています。
そこで、イスラム教徒のトイレでの望ましい行動について調べまとめました。
インバウンドでイスラム教徒を受け入れる人にも読んでほしい内容となっています。
ウォシュレットがないトイレで困る
イスラム教では、用を足した後に大小の排泄器官を左手で清潔な水で洗い流します。これをイスティンジャーといいます。
イスラム圏のトイレでは必ず洗い流すためのシャワーか、じょうろが準備されています。
日本のトイレはウォシュレット機能のついていないものも多いので、困ってしまうイスラム教徒がいるはずです。
私は、日本ではペットボトルに水をいれて持ち歩いています。観光地などイスラム教徒の方が多数訪問される場所では、ペットボトルなどを用意してあげると良いと思います。
もし水が手に入らない場合には、石や紙などで代用することができます。これをイスティジュマールといいます。
以下にイスティジュマールの決まりをまとめます。
- 綺麗になるまで拭く 3回以上で奇数回数
- 広範囲にわたる場合はイスティジュマールでは足りません
- 食べ物や、尊い言葉が書かれた紙、骨や糞を用いて拭いてはいけない
- イスティンジャ―ができるときはイスティンジャ―をしなければならない
日本のトイレでは紙を用いますが、イスラム教は水で洗浄する方が望ましいと考えています。
恥部を隠す
イスラム教では、同性同士であっても互いの恥部をみせてはいけません。そのため、立ち小便器はあまり使いたがりません。
バスで長距離移動をして野外でトイレをしなければならないときは、遠くに行って隠れてします。
日本のように裸の付き合いというものはありません。もの心がついたら、たとえ家族であっても隠すべきだとされます。日本のお父さんは風呂上がりに裸なんてこともよくありますが、イスラム圏では考えられないことです。
例外的に夫婦であれば一緒に入浴することが許されているようです。夫婦のつながりは深いのでしょうね。
衣服や体に排泄物がつかないようにする
衣服や体に排泄物がつかないように努めなければなりません。もちろん、イスティンジャーやイスティジュマールも衣服につかない役目も持っています。
立小便は跳ね返りがあるので、座って跳ねないようにするのが望ましいです。
もし、汚れてしまったら水で洗い流すことが義務となっています。洗い流さなければ不浄の状態となり、その状態で行った礼拝は無効となります。
沢木耕太郎の『深夜特急』
私の好きな作家である沢木耕太郎さんの「深夜特急4」のなかにこの話がでてきます。イスラム教に改宗する前は、深く考えずに流し読みしていた記述ですが、改宗してみると分かることがあります。
沢木耕太郎は、砂漠で隠れるところがないので座って小便をするとしていますが、これは彼らがイスラム教徒であったためなのです。彼らは砂漠だけでなくどこで小便するときも座ってしているはずです。そして、思い思いの方角に散ってゆくのは恥部を隠すためです。
その他気を付けること
これまで書いてきたことは義務となっていますが、以下にまとめることは義務ではありません。
義務ではありませんが望ましいことですので、まとめておきます。
- トイレに出入りするときに唱える言葉
入るとき「アッラーフンマ・インニー・アウーズビカ・ミナル・フブスィ・ワル・ハバーイス(アッラーよ、私はあなたに男女の悪魔からの加護を願います)
出るとき「グフラーナカ(あなたに赦しを求めます) - クルアーンをトイレに持ち込んではいけない
- 右手は使わず、左手を用いる
- トイレ内で会話を避ける (ノックされたらノックで返事をします)
- 用を足すとき聖地メッカの方向を向いたり、背を向けたりしない
- 道路など人が通る場所で排泄してはいけない
- 流れのない水に排泄してはいけない(病気が広まらないように)
- 地面の割れ目に排泄しない (動物が住んでいるかもしれないので)